食による色鮮やかで持続可能な未来:2021第4回台湾学校給食大会を開催

文|陳儒瑋(大享食育協会研究員)

国連は2015年に「持続可能な開発目標(SDGs)」を提唱して、貧困と飢餓、健康と福祉、教育、男女平等、環境生態、産業革新、及び消費と生産への責任等の課題に対して、世界中の全ての人々へ共に意識していくよう呼びかけました。

台湾の学校では1日180万食分の給食を提供していますが、これには栄養と健康、農業生産、飲食文化、環境生態、地域アイデンティティ、弱者へのケア、労働者の権利、地域社会への参加、地方経済、国際貿易等の課題が組み込まれているため、正に生活の中でSDGsの重要なポイントを実行しています。

これにより、2021年の第4回台湾学校給食大会では、SDGsをテーマに学校給食の従事者を招いて、SDGsに沿った学校給食を考案するなど、子どもたちが正しく食材を選ぶ能力を育成しています。

2021第4回台湾学校給食大会に出場した18人の選手

 

コロナを恐れず 競技会の開催

2021年10月16、17日には、全国から9チーム合計18人の選手が桃園の長庚科学技術大学に集まり、5分間の食育指導と90分間の調理競技会が開かれ、大会で指定するSDG12(持続可能な生産消費形態)の開発目標に従いながら、自ら選択した1項から3項の目標により考案した学校給食の献立を披露しました。

その結果、台中市忠信小学校より出場した栄養士の張緁洳さんと調理員の蘇家弘さんによる「ゴマわかめご飯、エリンギと鶏肉のマンゴソースがけ、トマトとコーンの肉そぼろ、有機小松菜料理、タケノコの味噌汁、ドラゴンフルーツ」の献立が大賞を受賞しました!

優勝を受賞した台中市忠信小学校献立(ゴマわかめご飯、エリンギと鶏肉のマンゴソースがけ、トマトとコーンの肉そぼろ、有機小松菜料理、タケノコの味噌汁、ドラゴンフルーツ)

地元の飲食文化の継承 地方経済の促進

優勝を獲得した栄養士の張緁洳さんは「今回の作品はSDGs目標2の(飢餓をゼロに)に基づいて発想したもので、子供たちが給食を無駄にしないような献立を考案しました。以前に出したことのある料理からインスピレーションを得て、料理の色合いが生徒の注意を引くことができるか、おかずの組み合わせが適切か、料理のバリエーションが生徒の期待に沿ったものかなどを考えながらつくりました。」と述べました。

栄養士の張さんは「トマトとコーンの肉そぼろメニューは学生に人気があり、色合いも華やかな一品です。屏東マンゴーはコロナによって売れ行きに影響を受けたことを知ったため、それであればマンゴーでソースをつくることを思いつき、これをから揚げとエリンギに合わせたら、台湾ならではの味わいを楽しめるのではないかと思いました。」と説明してくれました。

大会主催者・大享食育協会の事務局長である黄嘉琳さん

イベント主催者・大享食育協会の事務局長である黄嘉琳氏は「この2年間コロナウイルスの世界的な感染拡大により、このようなイベントの準備は以前より困難を極めました。感染防止に配慮した結果、イベントの規模は縮小されましたが、スムーズに競技大会を開催することができ、とてもうれしく思っています。」と述べました。

準優勝、卓越食育指導賞、イノベーション交流賞の合計3つの賞を受賞した高雄市南隆中学校

食育授業優秀賞 高雄市南隆中学校許淳善栄養士と羅方妤調理員

 

台湾南部を代表して出場した高雄市南隆中学校からは、決勝に進んだ初の男性栄養士の許淳善さんと調理員の羅方妤が、白玉大根のチャーハン、タイ風鯛のレモン蒸し、ロールキャベツ、水蓮菜炒め、パイナップルゼリーと牛乳の献立を協力してつくり、独特な客家料理であるとして、準優勝、卓越食育指導賞、イノベーション交流賞の合計3つの賞を受賞しました。

高雄市南隆中学校献立(白玉大根のチャーハン、タイ風鯛のレモン蒸し、ロールキャベツ、水蓮菜炒め、パイナップルゼリーと牛乳)

栄養士の許さんは「客家の飲食文化を参考にして考えた献立は、学生達に昼食を通じて故郷をより理解してもらいたいと考えました。これにより若い人を地元に引きつけ、美濃に残って仕事を見つけてくれるよう願いが込められています。」と語ってくれました。

ファミリーマートの商品化賞を受賞した台中市大鵬小学校

3年連続で審判を務めたファミリーマート生鮮部部長の黄正田氏は「環境の持続的発展はファミリーマートが追求し続ける目標です。今回ファミリーマートの商品化賞を受賞した台中市大鵬小学校は、一見平凡な作品のようですが、口に入れると美味しさが幾重にも重なり、豊かな味わいが楽しめるものです。今後、出場選手と協力して生鮮商品として商品化を目指し、販売したいと思っています。」と話してくれました。

ファミリーマートの商品化賞を受賞 台中市大鵬小学校

伝承の力

過去3回の大会で優勝した栄養士の楊蕊萍さん、蔡秀芳さん、王思萍さんの3人が手を組んで本大会の優勝チームを発表したとき、会場の雰囲気は最高潮に達しました。歴代の優勝選手が一斉にステージに上がったとき、学校給食の従事者達が次へとバトンタッチしていき、学生達のために努力を重ね、安全で栄養バランスの取れた給食をひたむきに提供している事を象徴しているように見えました。

第三回優勝栄養士王思萍、第二回優勝栄養士蔡秀芳、第四回優勝栄養士張緁洳、第四回優勝調理員蘇家弘、第一回優勝栄養士楊蕊萍(左から右へ)

事務局長の黄嘉琳氏は「地球の気候変動に直面したときに即座に行動に移すことは、世界中の全ての人々の責任でもあります。この大会はまだ始まったばかりですが、大享食育協会は将来的に台湾の学校給食の従事者と協力して、共に色鮮やかで持続可能な未来を創造していきたいと思っています。」と述べました。


Source:2021第4回台湾学校給食大会レポートが届きました