茨城県の学校給食を南投県南光小学校で再現

文.写真|王章逸(大享食育協会)

南投県埔里鎮南光小学校の王孟茜栄養士は「2022年11月、私が学校で群馬県川場村の学校給食センターの給食献立内容を提供したところ、多くの生徒が馴染みのない和食を喜んで試してくれて、大変好評を得たことをとてもうれしく思いました。勇気づけられた私は、生徒たちに異なる国の食文化を体験してもらいたいと思い、茨城県の学校給食レシピに再度挑戦することにしました。」と語りました。

茨城県の学校給食の再現で日台の違いを見る

2023年1月13日の給食当日、私は南光小学校に取材に来ました。すると王孟茜栄養士は当日の給食食材供給表を取り出し、表上にリストされている食材項目がよりはるかに多くなっていることに気づきました。

彼女は「食材を洗浄、整理するだけでも大変な手間がかかる」と話しました。まろやか豚汁を例にするとまずカツオでだしを取ってから豚のもも肉、かぼちゃ、大根、玉ネギ、ごぼう、こんにゃく、にんじん、わかめを入れて煮ることで、スープ1品で9種類の具材が使用されていました。秋の香ごはん、ガーリックドレッシングサラダ、しらすあえなどの他の献立内容も同様の状況にありました。

写真:調理員が手作業でこんにゃくを切る

「通常台湾の学校給食の食材は、これほど細かく切ることは無く、野菜裁断機の助けはあるものの、こんにゃく、レンコンなどの一部の食材はやはり手作業で行う必要があります。」と彼女は苦笑いしながら語りました。なお、甘味と塩味が主体の台湾に比べ和食は酸味を上手に使い分けていると彼女は考えています。「唐揚げのタレは、レモン汁と酒、みりんと三温糖を混ぜ合わせて作ることで、料理を和風に仕上げています。」

唐揚げ料理を担当する調理員は、日台の唐揚げ調理方法の違いを私に教えくれました。「今回の日本の唐揚げは、衣と鶏のもも肉を使っていますが、台湾でよく使われる鶏のむね肉を小麦粉で包んで油で揚げるのに比べ、扱いは大変ですが、食感が全く違います。」

写真:唐揚げを調理している調理員

学校給食は、味覚と食文化を探求し、学ぶ機会に

今回も茨城県の学校給食は生徒たちから絶賛されました。

しらすを油揚げてから野菜と和えて、野菜の旨味を引き出したり、秋の香ごはん内のレンコン、椎茸、サツマイモの香りには、秋の豊かな味わいが織り交ぜられていたり、また秋の香ごはんのシャキシャキとしたレンコンとまろやか豚汁内のこんにゃくのプリプリとした食感が生徒たちに新鮮さを与えたりと、生徒たちは普段の給食とは違う異国の味を楽しそうに味わっていました。

写真:日本の三信化製食器を使って生徒が学校給食を食べる

計画から実施まで半年の日台学校給食のレシピ交換と給食計画は、台湾側では王孟茜栄養士による2回目の給食で一旦幕を閉じました。ですが、台湾の学生たちにとって、このようなめったにない日本の学校給食の体験は、彼らの学生時代においてきっと一生忘れることのない大切な思い出になることでしょう。

写真:王孟茜栄養士


【学校給食献立】

茨城県美乃浜学園栄養教諭.保立貴博)

  • 主食「秋の香ごはん」
  • 飲み物「ジョア」
  • 主菜「鶏肉のレモンソース」
  • 副菜「ガーリックドレッシングサラダ」「しらすあえ」
  • 汁物「まろやか豚汁」