台湾・南投県での群馬県川場村の学校給食の試食

文|陳儒瑋(大享食育協会研究員)

写真|王孟茜(南投県南光小学校栄養士)

このスープ超おいしい!

南投県南光小学校6年2組の生徒たちは口々に感嘆の声を上げました。

調理員は生徒たちの感想を聞いて、笑顔でこう語りました。

このスープには、大根、ごぼう、ニンジン、小松菜、昆布、乾燥しいたけ、かぼちゃ、ねぎ、セロリ、こんにゃく、揚げ豆腐、かつおぶし、味噌が入っています。おいしいのは当然ですよ。

さすがは群馬県川場村の飲食生活改善委員会が考え出した、塩を抑え、食物繊維、カルシウム、鉄分たっぷりのよかっぺ汁です。台湾の子供たちを虜にしてしまいました。

台湾史上初の日本の学校給食メニュー提供

今年の6月、大享食育協会は日本の群馬県川場村給食センターと茨城県の美乃浜学園を訪れ交流を楽みました。その際、日台双方の学校給食のレシピを交換して提供するのはどうかという話が持ち上がりました。これは本間ナヲミ氏、遠藤まみ氏、保立貴博氏など3名の栄養教諭からの絶大な支持を得ることができました。

帰台後、私たちは南投県の南光小学校、彰化県の鹿東小学校、雲林県の建国中学校を計画に組み入れ、7月中旬からこの前例のない学校給食交流活動が実行に移されました。

王孟茜栄養士は南光小学校で働いていますが、世界各地の給食をテーマ別に提供するというアイデアを思いついたことがあります。

このプロジェクトはとても面白いと思い、是非参加させていただきたいと思いました。生徒たちに様々な食べ物を体験してもらいたいと思っているからです。日本から日本で作っているとおりのレシピをいただきましたが、台湾の事情を考慮して一部の製法や食材に変更を加えました。

変更の例としては、カブを台湾でよく使われるブラッシカ・ラパに置き換え、マイタケは学校給食の食材として認められているブナシメジに変更しました。また赤魚の西京焼きは台湾イズミダイで作りました。

学校の廚房にはオーブンがないので、蒸し焼きの方法は、まず甘蔗粉にまぶしてから揚げるという方法に変えました。この方が色が鮮やかで子供たちの食欲をそそるからです。さらに台湾学校給食のタンパク質基準と生徒の食習慣に合わせるため、イズミダイは提案レシピの二倍の約80グラム使うことにしました。

孟茜栄養士によれば、今回の成功の裏には調理員の苦労がありました。

日本の学校給食で使用する食材は種類が多く、加工方法も細かいという特徴があります。私たちの廚房スタッフは10名で、1,400人分の給食を扱っていますが、通常よりも長い時間をかけて加工することが必要でした。

写真:台湾は日本の学校給食を提供する

生徒の食の経験を広げる

ブナシメジの混ぜご飯が好きです。一目見て栄養たっぷりだからです。

ブナシメジの味はちょっと苦手だけれど、揚げ魚がおいしかった。

栄養士さん、次はまたいつ日本料理を食べられるんですか?

4年8組の生徒たちは栄養士の周りに集まり様々な意見や質問を出してくれました。

写真:掲示板の川場村学校給食の紹介を読む生徒

廚房に戻りながら、孟茜栄養士は交流プロジェクトに参加してよかったとしみじみと感じました。このような機会がない限り、普通の人は日本の学校給食を味わうことなどなかったことでしょう。

生徒の好き嫌いは別として、誰もが広い心を持って新たな事を試してくれるなら、それだけでやりがいを感じます。

写真:王孟茜栄養士(左)與調理員


【学校給食献立】

(群馬県川場村学校給食センター栄養教諭.本間ナヲミ)

  • まいたけごはん
  • 赤魚の西京焼き
  • きゅうりとかぶの梅漬け
  • 菊花和え
  • よかっぺ汁
  • りんご
  • 牛乳