文・圖|荻原 遥
今週は、訪問先における録音音声の文字起こしおよび翻訳作業を行い、当日の会話内容を把握することができました。また他のチームに関しては、HPに掲載されている「賽前採訪(試合前インタビュー)」を拝読し、チームについて、そして献立について一層理解が深まりました。
こうした資料や取材の中で言及されていた「三章一Q」という取り組みについて、今週は調査を行いました。以下の内容は、台湾行政機関が公開している「學校午餐三章一Q專區」の情報および、協会が日本農業新聞の取材に対して提供した説明資料をもとに整理したものです。
「三章一Q」とは、台湾全土の小中学生が、安全で高品質な国産農産物を安心して口にできる環境の整備を目的として導入された政策です。2016年に教育部と農業部により発表され、2017年から段階的に導入が開始されました。さらに2021年からは、学校給食における国産かつ追跡可能な食材の全面的な使用が推進されており、これにより環境意識の醸成や地域の食文化の体験、さらには食農教育・生活教育の普及もあわせて目指されています。
「三章一Q」は、以下の三つの認証マークと一つのQRコードを総称したものです:
CAS:国産農産物および加工品に付与される品質認証マーク
TAP:農産物の生産過程が追跡可能であることを示すマーク
有機農産物マーク:有機認証を受けた農産物に付与されるマーク
QRコード:消費者が生産者や生産情報を確認できる追跡用コード
本政策に基づき、学校給食では「三章一Q」食材の使用が積極的に推進されています。学校は、1食のうち一部にでも「三章一Q」食材を使用することで補助金を受け取ることができ、日割りで1食あたり10元、有機野菜を使用した場合にはさらに4元が加算され、最大で14元の補助を受けることが可能です。2023年時点では、「三章一Q」食材の使用率は全国平均で97.85%に達しています。
今回の調査を通じて、「三章一Q」は単なる食材選定の基準にとどまらず、食の安全性や環境への配慮、地域振興といった多様な観点を制度として結びつけた、包括的な取り組みであることが明らかになりました。日本においても「地場産物の活用」や「食育」の推進は各地で進められていますが、今回私が調査した範囲内では、「三章一Q」のように認証制度、トレーサビリティ、補助金支給を一体的に構築した全国レベルの制度は見当たりませんでした。また、これまでの取材では、多くの栄養士やシェフの方々が、学校給食における規定の厳しさについて言及されていましたが、制度的枠組みに基づいた理解と実践が、その背景にあることを認識しました。
参考文献 三章一Q網站 https://4b1q.moa.gov.tw/
各縣市校園午餐食材三章一Q登錄筆數占比 https://4b1q.moa.gov.tw/fatraceschool.php
文・圖|荻原 遥
今週は、訪問先における録音音声の文字起こしおよび翻訳作業を行い、当日の会話内容を把握することができました。また他のチームに関しては、HPに掲載されている「賽前採訪(試合前インタビュー)」を拝読し、チームについて、そして献立について一層理解が深まりました。
こうした資料や取材の中で言及されていた「三章一Q」という取り組みについて、今週は調査を行いました。以下の内容は、台湾行政機関が公開している「學校午餐三章一Q專區」の情報および、協会が日本農業新聞の取材に対して提供した説明資料をもとに整理したものです。
「三章一Q」とは
「三章一Q」とは、台湾全土の小中学生が、安全で高品質な国産農産物を安心して口にできる環境の整備を目的として導入された政策です。2016年に教育部と農業部により発表され、2017年から段階的に導入が開始されました。さらに2021年からは、学校給食における国産かつ追跡可能な食材の全面的な使用が推進されており、これにより環境意識の醸成や地域の食文化の体験、さらには食農教育・生活教育の普及もあわせて目指されています。
「三章一Q」は、以下の三つの認証マークと一つのQRコードを総称したものです:
CAS:国産農産物および加工品に付与される品質認証マーク
TAP:農産物の生産過程が追跡可能であることを示すマーク
有機農産物マーク:有機認証を受けた農産物に付与されるマーク
QRコード:消費者が生産者や生産情報を確認できる追跡用コード
本政策に基づき、学校給食では「三章一Q」食材の使用が積極的に推進されています。学校は、1食のうち一部にでも「三章一Q」食材を使用することで補助金を受け取ることができ、日割りで1食あたり10元、有機野菜を使用した場合にはさらに4元が加算され、最大で14元の補助を受けることが可能です。2023年時点では、「三章一Q」食材の使用率は全国平均で97.85%に達しています。
今回の調査を通じて、「三章一Q」は単なる食材選定の基準にとどまらず、食の安全性や環境への配慮、地域振興といった多様な観点を制度として結びつけた、包括的な取り組みであることが明らかになりました。日本においても「地場産物の活用」や「食育」の推進は各地で進められていますが、今回私が調査した範囲内では、「三章一Q」のように認証制度、トレーサビリティ、補助金支給を一体的に構築した全国レベルの制度は見当たりませんでした。また、これまでの取材では、多くの栄養士やシェフの方々が、学校給食における規定の厳しさについて言及されていましたが、制度的枠組みに基づいた理解と実践が、その背景にあることを認識しました。
参考文献
三章一Q網站 https://4b1q.moa.gov.tw/
各縣市校園午餐食材三章一Q登錄筆數占比 https://4b1q.moa.gov.tw/fatraceschool.php